ぼくは麻理のなか の感想(ネタバレ)
小森功は女の私から見ても近寄りたくないタイプの人間です。
毎日同じことを繰り返し、影で暮らしている男。
一方麻理は勉強が出来て容姿端麗な女子高生。
家族からも期待されている、周りから見たら完璧な人間です。
そんな2人だからこそ、お互いに惹かれあってしまったのかなと思いました。
人間の中身が入れ替わる話はよくありますが、この漫画は小森の中身いるけど麻理の中身はない不思議なお話。
麻理はどこにいるのか、小森は二人いるのか、なぜ小森は麻理の体に入ったのか。
読んでも読んでも謎が解けなくて先が気になるお話でした。
麻理はどこにいるのかが一番気になるけど、依さんと麻理のことも気になっていました。
依さんが麻理に抱いていた感情はどこか踏み込んではいけないような気持ちになりました。
強気だったはずの依さんが、だんだん女の子になっていく姿がかわいいなと思うことも。
麻理と依さんが麻理の中身を捜すことで徐々に見えていく麻理の闇が面白かったです。
完璧な女子高生に見えていた麻理は、いつも小森を見ていて憧れを抱いていました。
小森は麻理を見ていたけど、まさか麻理も小森を見ていたとは思いもしていませんでした。
人間はやはり無い物ねだりな部分があって、自分の人生に嫌気がさす瞬間があると思いました。
それはきっと依さんにも言えることで、登場人物はみんななにかを抱えていました。
きっと、あの嫌な麻理の母親も。
最終的に麻理のなかにいたのはやっぱり麻理であって、小森ではありませんでした。
いや、小森だったのかもしれません。
麻理は小森だったのかもしれません。
なんだか不思議な結末でした。
でも、私は納得しました。
誰にでも逃げたい現実はあります。
麻理になっていたふみこちゃんは、一生懸命麻理として生きてきました。
きっと小森になることが出来た麻理はとても幸せだったと思います。